現地リポート
カメルーン北西地区豚畜産農家協同組合共同体
(NOWEPIFAC)
ジョーカからの2019年分寄付に関するリポート
2019年のテーマ;
「今日の飢餓の脅威に対処することで、持続可能な未来を確保する」
作成/提出 -
アトゥンバ・テグウィ・タイトゥス
プロジェクト・コーディネーター
NOWEPFA COOP- BOD - カメルーン
P O Box 729 - Bamenda
http//nowepifac.com
mobilelivestock1995@gmail.com
はじめに:
オランダ人少女ジョーカは、カメルーンで社会的・経済的危機が猛威を振るっているニュースを聞いたとき、自分のプロジェクトである「ジョーカからのこぶた」を助けることが賢明だと考え、そのために、緊急でいつもの半分の量の飼料を養豚組合のメンバーに寄付することを考えました。
彼女はすべての受益者に手を差し伸べることはできませんでしたが、このレポートにあるように、受け取った数人の人々はこの行動にとても満足していました。このレポートでは、何が起こったのかのストーリーと、どのようにこのお金が使われたのかをご紹介しています。
行動を起こした人:
飼料の一部に資金が提供されるというニュースを聞いて、「ジョーカの飼料プロジェクト」の受益者が多くがいるグーザン、バウォック、そしてバメンダ周辺の養豚家グループのリーダーに電話をかけてみました。
社会情勢の危機が続いているため、ミーティングのために農家を呼び出すことは非常にリスクが高く、困難でした。ほとんどの調整は電話で行われていましたが、あちこちで停電が頻発しているため、電話での連絡がうまくいかないこともありました。
ニジュー・チャールズと私はバウォックに行き、農家の人たち(特にジョーカプロジェクトの受益者)に会いました。彼らは、他のほとんどの人が国内避難民(IDP)としてバメンダの町に行ってしまった中でも、いまだ活発に活動していました。
私たちが目にした村の状況や、政府治安部隊や分離主義勢力との道中での経験は、控えめに言っても良いものではありませんでした。それでも良い知らせは、私たちは依然、様子からして飼料提供の恩恵を受けられていなかったと思われる農家の居場所を突き止めることができました。
というのは、政府軍が、明確な制服を持たない分離主義者を探すために村落・集落を頻繁に攻撃してくるため、農家の人々は継続して家に住めず、森と家を行ったり来たりしていたからです。市民はよく間違って狙われ、ほんとうに多くの人々が、政府軍の侵攻の際に茂みに逃げ遅れ不当に命を失いました。私たちは10人の農民を特定し、流通がやや自由でリスクも少ない6月6日(木)にバメンダに招待しましたが、全員の中から誰を選ぶかを決めるのは大変難しい作業でした。
飼料の原材料を町から購入し、配布日に先立って協同組合の集会所で飼料を作りました。移動にかかるコストやリスク、外出禁止時間帯に集会を開くことができないことなどを考慮して、バメンダの協同組合に飼料を取りに来ることができたのは5人の農家だけでした。しかし彼らは残りの欠席した農家のための分も受け取りました。
左: 町からの飼料購入
中央: 協同組合での荷下ろし
右: 協同組合での飼料配合
協同組合での飼料配合:
通常通り、飼料成分は清潔なセメントの床に置かれ、混合はスペースを使って手作業で行われます。混ぜることができる地面のスペースを考慮して、一度の混ぜ合わせにつき50kgの袋を2つ作ります。量の確認には計量器を使用し、成長期の豚専用の飼料、つまり体重30~60kgの豚用の育成飼料の生産に注力しています。トウモロコシを使用しなくても、良好なパフォーマンスが得られます。
左: 飼料の具材
中央: 濃厚飼料10%
右: 魚肉65%
左: パーム核粕
中央左: リン酸2カルシウム
中央右: 小麦ブラン
右: 大豆49%
左: 毒吸着剤
中央左: 硫酸鉄
中央右: 貝殻
右: 混合の準備完了
左: 保管
中央: 人力での混合
右: ミーティング
バメンダの協同組合ホールでの受益者とのミーティング:
ミーティングは2019年6月6日(木)午前10時に予定されていました。バウォックから5人の女性農家が出席し、非常に短時間のミーティングが行われました。
このような厳しい状況の中でも、農家の皆さんが活動を続けられるようにとの思いが込められています。飼料の供給源を説明し、欠席した人にも強い励ましのメッセージを送りました。
飼料は組合の前に置かれ、回収されました。飼料のそばに立って、マダム・ライメン・エリザベスが祈りを捧げ、神様が寄付者を祝福し、またバウォックへの旅路帰る人々を祝福してくれるように願いました。飼料と彼らを一緒に運んでくれる運送業者を頼んでありました。しばらく待っていると、車が到着し、飼料と一緒に彼らは運ばれていきました。
直面した困難:
危機が続く中、飼料原料の価格は大幅に上昇しています。
毎週月曜日はゴーストタウン(外出制限)の日なので、平日のうち1日は完全停止日になります。少しでもこのゴーストタウンを破って移動しようとすると、強い抵抗を受けることになります。
道路にはあまりにも多くの警察の検問所があります。政府軍も分離独立軍も、たとえ個人的な書類に問題がなくても、闘争への支援を求めてお金を要求してきます。
身代金目的の誘拐はどこの分離主義勢力でもよくやることで、闘争のためにバイクを奪うのもよくあることです。私も一度、被害に遭いましたが、バイクを奪われないために膝をついて懇願した結果、15,000セーファーフランを支払わなければなりませんでした。
都市間輸送費は、目的地に着くまでに、政府・分離主義勢力両陣営の軍のキャンプが道路を封鎖されているのをなんとか通過しなければならない、という輸送業者の言い分とともに、急激に増加しました。バウォックまでの輸送費は通常500セーファーフランですが、1500フランに上がり、さらに加えて飼料1袋500フランで、バウォックに戻った時には2,000フランになりました。私たちの呼びかけに勇気を持って応えてくれた数少ない農家の経済的負担を軽減するために、私たちは彼らの輸送費を補填しなければなりませんでした。彼らの交通費は全部で20,000フランでした。彼らが無事にバウォックに到着したことを確認するために、到着後電話をもらいました。
左: 祈り中
中央r: バウォックに向けて準備
右: 安全な旅を!バイバイ
財政的な内訳:
為替レートを正確に把握せずおおよそで、また引き出し時に銀行手数料が引かれることを考慮して、1ユーロ=660Frs CFAとし、飼料予算は198,000Frs CFAとしました。手元に共通のバスケット基金(持ち寄り基金)があったので、若干予算をオーバーしましたが、許容範囲でしょう。全部で14袋の飼料が作られました。
コメント:
このプロジェクトは、貧困削減という目的以外にも、協同組合の組合員が養豚組合の理念やビジョンに再び関心を持ち、グループミーティングへの出席を促すことにも役立ちます。 たとえ次の機会に延期されたとしても、誰もが常に何かを得ることを期待しているからです。
現在進行中の社会的政治的危機は、このプロジェクトの存続に大きな脅威となっており、今回のような行為は、このプロジェクトの残りの受益者に希望を与えるためにちょうど良い時期に行われました。一方で、今回恩恵を受けられなかった人たちは、なぜ自分だけがそうならなければならないのかと疑問を抱いています。確かに難しい状況ですが、何人かの農家には毅然とした態度を保ち、次の機会を待つようにと説得することができました。農家の人たちは、すでに破綻寸前になっていて、大きな満足感を示してくれました。同時に他の人たちのために、神様が寄付者を助けて、他の人にも支援を届くようにと懇願していました。
私は、過去24年間、民間企業で成功を収めてきた獣医師として、2004年からは特に養豚家のみなさんと仕事をしてきました。私のコミュニティでは多くの人々が家畜の飼育を成功させるために私のフリーランスの獣医師サービスに依存しているため、私は長年にわたって、他の人々が貧困を避けるために行ってきたこと(緑の草原=良い環境を求めて海外に行くことなど)を行うことには抵抗してきました。
私は一軒一軒、動物の予防的な日常診療を行っていますが、私のサービスが必要とされる地域全体をカバーすることはできません。
2004年6月に豚の協同組合が設立され、その後、長年にわたってオランダのパートナー企業から支援を受けてきたことで、私は協同組合の設立者として、また海外のパートナーとの主なやりとりをする立場として、この協同組合への愛着と結びつきは非常に強くなり、切り離せないものとなりました。
草の根の農民たちは、民主的になされる選挙で私の協同組合のリーダーシップを交代させることを、真っ向から拒否しました。なぜなら私のように、多くの農家の方々が持っていないコンピューター知識を使いつつ海外のパートナーと適切なコミュニケーションをとれる人は他にいないと感じているからです。
問題を最も複雑にしているのは、協同組合の創設者でありビジョンの担い手である私が、無給で組合員に奉仕しているという事実です。
協同組合の収入源は、プロジェクトコーディネーターに給料を支払うには十分な生産性がなく、さらに危機的状況が悪化しているため、これは他の誰もがやりたがらないことです。
協同組合の原則や理念について訓練しようとする試みが何度も行われたにもかかわらず、ほとんどの組合メンバーが依然として保守的なマインドセットを持っているため、組合員による協同組合の規範や原則の理解と尊重は十分にまとまってはいません。
理事長の故プリンス・アソボ氏は、組合員に対して、組合のビジョンとミッションを達成し、明確なインパクトとともに持続できるように、組合に相当量の株式を投入し、農地の預託金を払い、農産物(豚/仔豚/豚肉)をこの構造のなかだけで売ることで、組合を後援するように説得しようと何度も試みましたが、失敗に終わりました。
提案/勧告:
私たちは、可能であれば、この寄付の恩恵を受けていない人たちにも、別の飼料を提供することをお勧めします。そうしないと、メンバー間の分離や偏見を招く恐れがあります。
私たちは、今年年内にもう一度飼料の寄付が可能であれば、その後私たちは、今回の政府軍や分離主義者との高速道路での経験が非常に苦いものであったために感じている、危機からの圧力に耐えるために、休止期間を空けてもよいと考えており、そうお勧めします。
さらに悪いことに、5月以降、一部の動物にアフリカ豚コレラの症状が出始め、6月、7月はこの疫病のピークとなる時期に差し掛かっています。このような理由から、もし今年もう一度寄付と受け渡しを計画するのであれば、いつまでにアクションを起こさなければならないのかを合意しなければなりません。
この 「ジョーカからのこぶた」イニシアティブは、この養豚組合の心臓部であることを忘れてはなりません。そしてそれゆえ私たちは、世界中どこでも、このイニシアティブを支援し応援してくれるあらゆる人道的な支援者や団体にアピールしているのです。なぜなら、この活動は、カメルーン北西部の多くの地域で、多くの人々の生活を維持するのに役立っているからです。
このプロジェクトは、協同組合に使命と仕事を与え続けています。人々がいつかここから恩恵を得たいと願っているからです。控えめに言っても、カメルーンを拠点とするプロジェクト・コーディネーターが、他の人たちのように海外のより良い環境の場所に移住しないで、ここで有志の奉仕に捧げているのは、このプロジェクトのおかげでもあります。
私たちの国に平和と安定が戻ってきたら、コミュニティ・ベースド・アニマル・ヘルス・ワーカーズ(CBAHW)(共同体に根ざした動物衛生従事者)の育成プログラムを提案したいと思います。
私たちは、この地で非常に有用である、補助獣医師スタッフのための方針文書とトレーニングマニュアルを持っています。 彼らは、さまざまなコミュニティでの農家へのアウトリーチ(出向いての)プログラムを促進でき、多くの村の地域で良質な農作業が確実に可能になるよう、最も必要とされる農場でのトレーニングと農家のフォローアップができるでしょう。私たちは、プロジェクトを設計し、スポンサーが見つかることを願っています。
このページのトップにもどる